「まるみつラーメン」
開店して間もないはずなのだが、口数の少ない店主の方針か、ひっそりしっとりと営業していたのだった。
意外にラーメン激戦区の千歳で、新規開業には、新奇なウリがなければ難しい。
こちらのウリは、まずは“野菜増し・背脂増し無料”だ。ぐっとくるではないか。
最近、“学生大盛り無料”“野菜デカ盛り”などという店が近隣にちらほらでてきている。
では、味噌らーめん¥780+大盛り¥100、野菜・背脂増しで。
じゃっじゃっという炒める音は聞こえないのだが、随分時間がかかっている。ここもタイマーで茹でる時間を計っているのだが、僕の前に入っていた客の麺がようやく茹で上がったようだ。
待つ間に、ふーんと店の内外を眺める。
窓の外には、太兵衛・小林製麺と染められた幟。
雑誌、マンガ、テレビのない店内では、めずらしくAMラジオ「永六輔の誰かとどこかで」が流れる。
厨房の前には、「腹十分目」と控えめにに染められた暖簾がかかる。珍しい文句だ。しかし後で、これが店主の心意気であることがわかるのだった。
タイマーも鳴って、ようやく届いた一杯。
うわっ、『南幌温泉』のキャベツ天丼を思い出すような、冬山のような白い頂き!たっぷりの茹でたもやしに、背脂、砕いたニンニクが散らされているのだ。この佇まいは、見たことがない。
チャーシューも分厚い。通常の2~3倍はあろうか。
インパクトは十分か。
だが、その精髄は、その頂きの下から麺を手繰ってやっとわかった。
麺が極太なのである。道理で時間がかかるわけだ。
『ベジポタラーメンJILL』で使っているあの太さだ。極太麺は、あれはあれで旨いと思っていたので、通常のラーメンスープに合わせて食べられるのは嬉しい。
ぷりぷりと弾力があり、歯応え十分の茹で加減。直次郎のように、喉で味わうわけにはいかない。
香辛料控えめのスープに、クラッシュしたニンニクの辛みが程よい(好みは分かれるかもしれない)。
熱いラードで舌を焦がすことなく、背脂のこってりとした舌ざわりを楽しめる。
最近流行の味玉はないが、省力化と具を絞ることでコストも抑えたのだろう。
スープはオーソドックスなものだが、しっかりとコクが引き出されている。調味料は少なくないが、水気の多いもやし、香辛料の少なさとのバランスがよく、あまり気にならずに、結構最後まで飲んでしまった(夕方まで舌がじりじりしてしまったが)。
注文をつけるなら、ちょっともやしの水気が多いかな。また、具に色味が欲しい。わけぎを散らすと、赤いカウンター、白い丼に映えるのではないだろうか。
この極太麺と野菜(もやし)大盛りは、やはり咀嚼する時間が長いせいか、だんだん満腹感が満ちてくる。ずんと胃に重みを感じてくる。よくあるセットのチャーハンだと軽いものだし、チャーシュー大盛りだともたれる感じもある。しかし、単にラーメンだけだと、そうした違和感なく、一気にずどんとした重さ、満足感を得られるのだなあ。
食べ終わる頃には、僕にしては珍しく文字通り「腹十分目」になっていた。麺と野菜だけでこれほどの満腹感はなかなかない。
「腹十分目」を提供したいという店主の狙い通りにはまる、期待のデカ盛りラーメン屋なのだ。
まるみつらーめん ( 千歳(北海道) / ラーメン全般 )
★★★★☆4.0
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北海道千歳市日の出3丁目5-6
不定休 11:00 - 20:00