積丹ウニ三昧 ①

伊達直人

2012年06月25日 20:42

田村岩太郎商店

ま、ウニさえ旨ければ、他は多少目をつぶってもいいか、とウニ丼めあてに入った店。

美国に着いてすぐ、ウニ漁の様子、入荷を確かめる意味もあり、「朝ウニぶっかけ丼」と奇天烈な字が躍る看板が目についたこちらのお店へ声を掛けてみる。
その日のウニが獲れたということで、価格を尋ねると、
「今日は¥2,700で出そうかと思います」
と、オーナーらしき方の言葉。
というのなら、とテント設営後に来店したのだが。

客にどんなサービス、時間を過ごしてもらうか、なんて後回しで、とにかく店名を広めて観光客に来てもらって名を挙げる!という目標全開の、青春の蹉跌がにじみ出るかのような店作り。

店に一歩踏み入れれば、何というか、一見さんは遠慮願う、というよりも、お友達じゃなきゃヤ、と迫られるような雰囲気。なんでかなあ。

1.区切りすぎて、しかも開口部が若干狭く、動線が円滑でない、流れの差し障りばかりが目障りなパーティション。
2.何かはっきりしないトップ(オーナー)の言動。
3.客慣れしている店長はともかく、開店からかなり立つのに未だ素人まるだしの運営。

なんてことが嫌でも目に付くのだ。

昼はウニ丼中心ということで、カウンターにはウニ丼の準備が整っている。

席に着く前にそこで注文して前払いということなのだが、メニューとか料金表とか、何もなしで告げられる。予習が必要なら言ってくれなきゃ困るなあ。
「ウニ丼だけなら¥3,000です」。あれっ?何だろう、その価格変動と、他にも何かあるかのような含みは?
“だけ”食べるつもりだったが、他にも注文していい、注文しろ、ということかと思い、ちょっと見回した。だけでないなら¥2,700なのかなあ?メニューとかみてないからまるで判断できないが。
「じゃあ、あとビール。」
「ビール、飲みますか…?」開店早々は調整もしていないようで、面倒なのでやめてほしかったようだ。でも、出せないとは言わないし、うーん、何か奥歯に引っかかる、煮え切らない応答。

岩かき¥400、と書かれた札が出ていた。岩牡蠣がその値段なら格安だ。しかし、生では出せないらしい。岩牡蠣なら、かなり鮮度を保つものだが。焼いたのを二枚もらうことにした。



こちらへどうぞ、座っててください、と言われるままに焼き場横のテーブル席へ。
ほどなく、ウニ丼と、ヘラガニ汁が届けられる。汁はさっぱりとして旨味十分。身は、食べなくてもいいな。
席には醤油や殻入れというものはない。醤油を求めて、しばらくしてから出てきた。

ビールに時間がかかったが、カキとおぼ同じ頃に出てきたからまあいいか。
焼いたカキは、どう見てもただのカキ。殻は大きめでも薄く、到底イワガキとは名乗れない代物。もしかして、「殻付き牡蠣」と言いたかったのか?それとも、積丹では、普通のカキでも殻にはいっていて夏に出回る物は「岩カキ」というのだろうか。

なんだかなあ。と啜って、ウニ丼に移る。
ウニは、剥いて間もない新鮮なもののようで、旨い。とろっとろだ。白だが、量は多い。文句なし。
だがご飯が多すぎる。ウニさえ食べられればいいので、さっさと残す算段を踏んだ。



それにしても蒸し暑い。風の通りが悪い。真夏の夜の快適さは、いかばかりか。

12時をまわると、来店する客がちょこちょこある。なんとその客達には目の前で「もっと盛っちゃおうかなあ」とウニをかけている。
それは、客みんなにするの?僕はされてないけど。僕のウニ丼は、果たして盛りがいいのか、けちられたのか全くわからない。なぜ対応に差をつけたのか?それは当然なのか?

何だろうな、この一貫性のない対応は。対価の妥当性も疑わしくなる。
¥4,300と言われた御代は、きっとウニ丼の価格は当初言ったようには下げていないのだろう。ではなぜ、あんなことを言ったのか?

もう何をしたいのかわからないトップ。
客を集めたいのならそれなりの対応をしなければならないし、客を選ぶ趣味の店でいいのなら看板なんか出さないで時価で馴染みだけ相手にすればいい。どっちなんだ?

何をやりたいのかまるで見えない店なのだった。

漁師めしダイニング 田村岩太郎商店 ( / 居酒屋 )
★★☆☆☆2.0
supported by ロケタッチグルメ



0135-48-6300
北海道積丹郡積丹町美国町船澗132-1
不定休


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