2011年09月03日
その個性を愛す
「ベジポタラーメン ジル」
意外に北海道人は、ラーメンに関しては保守的な味が好みで、野心的な味わいはなかなか受け入れられない難しさがあるようだ。
こちらのお店は、野菜のポタージュスープに、特注の極太麺を合わせたラーメンを開発した。なかなかに大変だったと思う。
ところが、残念なことにこの個性的な旨さは未だ理解されていないようで、食べたことがない・一度しか入っていないという方が多く、近隣のラーメン店を選ぶ方が多いのだ。
この店の味は、有りか無しかで言うなら、声を大にして「有り」だと言おう。
まず、現在のラーメンとはどんな料理かというと、すでに発祥の大陸の味と遙かに違う物に変化しているではないか。ありとあらゆるスープの取り方があり、食べ方や麺の種類も多様で、何でもありの百花斉放、百家争鳴のジャンルではないか。しかも全国的にまだまだ変化が落ち着く気配もない。そういう料理を、北海道人は好む傾向があるではないか。
この店の生み出す味は、ヌードルの一形態だと考えればいいだろう。
温かいスープの物は、まず塩梅が落ち着いてきた。当初は味が濃かったが、ベースになるスープの濃度を落としたか、塩加減を落としたか、飲み下しやすくなった。バジル、ガーリック、胡椒など、様々な香辛料等を加えて味の変化を楽しむよう推奨されているのだが、この変化は劇的だった。ラーメンにこういう味があるのか!?という衝撃がある。
ダシはポタージュの甘みとのバランスよく、ブイヨンともまた違う、洋食のスープとしてなら、おおっ!と驚く一歩踏み込んだ味だろう。ラーメンの文脈で考えると、コクがわかりづらく何のスープだろう、という異質な印象を与えるかもしれない。
しかし、髄液を絞るように煮込んだ獣臭さ、調味料や油脂に頼らない味付けのスープというのは、実に個性的で旨い物なのだ。
三角形のイタリアンで使うようなボウル型の丼は、インパクトはあるだろうが、料理にとっては、向いていないのではないか。浅い器で少し麺が泳ぐくらいで、スープの香りが立つようにしたほうがいいのではないかと思う。まあ何より僕には、視覚的に三角形という角の立った禍々しさと、面積が狭くちゅるっと啜った際に、汁が器の外へとハネ飛びやすいというのが、食事を提供される側として障りを感じ嫌なのだが。大抵は大盛りを頼んでいるので、丸く大振りな器はそんなストレスとは無縁。

つけ麺が最近出てきたが、市内でもトップの味だと思う。冷たい麺に熱いスープは、麺を浸す時間が長くなっても塩梅よく、舌に刺激少なく、スープの甘みと旨味を味わえる。じっくり、極太麺を噛みしめ味わえる。
この極太麺が手強い。アルデンテ程度の茹で加減なのだろうが、うどんともパスタとも違う、なかなか噛みきれないもちっとした弾力溢れる麺なのだ。ラーメンの麺としての歯応えや味わいを確保し、パスタのように口の中で噛んで味わう食べ方に向いた麺、と考えていった正常進化がこの麺なのだろう。
そういう固さの麺なので、いつものようにがばっと箸でつまんで啜る、という食べ方は向かない。口の中でごわごわと噛みきれないいらだたしさが残るだろう。スパゲッティのように、少量まとめて口に放り込むといいのだろう。
そうすると時間がかかり、麺がのびてしまうかも、という心配のために、固めの茹で加減なのだ。この麺はそうそう水を吸わないので、嬉しいことに大盛りにしてもそれほど固さに変化はない。
平打ちやバリかた等、麺を味わう風潮が出てきてはいるが、この極太麺の独特さは断トツで、抵抗感があるようだ。最近はラーメンらしい中太麺も選べるようになった。
どこのラーメン作りの文脈に属さないこの味は独学らしく、意見を寄せてもらいたいと卓上には用紙が用意されている。独創的なだけに、客観的な評価を得るのは難しいだろうな。
こちらの明快かつ個性的な方針を、僕は支持するぞ。
と先日はつらつら考えていて、今、強いてあげるなら…、と書き込もうかどうしようか迷っていると所用ですぐに店を出なければならなくなった。
具にレンコンが入っているのだが、これが厚く固いので、薄切りにしてスープカレーの具のように素揚げしてみてはどうか、ということを勘定の際に言い置いて店を出た。
真意は、もう少しある。
ラーメンを求める客は、意外に“わかりやすさ”も求めているようなので、わかりやすいコクがあるといいのかもしれない。
油脂のコクをこれ以上スープに入れることは考えられないので、具でコクを感じてもらってはどうだろうか。揚げることで、油のコクを感じてもらえるのではないか。
また、レンコンの固さはちょっと異質で、薄くするともっとスープとなじむのではないだろうか。
具にレンコンが鎮座するというのは、スープカレーで北海道民にはもうお馴染みだろう。。
中太麺も用意するように、客の嗜好にも擦りよせをする余地があるようだし、ちょっとした“わかりやすさ”があれば、もっと千歳市民に受け入れられるのではないだろうか。
もっとこの個性的な味わいが、受け入れられて欲しいと願うのだ。
趣味性がありそうで、でもこだわりのなさそうな内装、ディスプレイについては全く評価しない。悪くはない(と思う人が大半だろうけど)だろうが、アメリカ的“お飾り”という雰囲気は全然店に馴染んでない。器にプロヴァンス風のもの、イタリア的大振りな明るさの物があると、ぐっと来るかもしれない。
でも店名の“ジル”は、ジル・ド・レェのジル?それとも、シスター・ジルのジルとか?どちらも悪魔的だから、そんなことはないだろうけど、由来はなんなのだろうな。
さてさて 個性的なことは間違いない、世に問うだけの価値ある一杯だ。ぜひご賞味を。
電話 0123-27-9000
北海道千歳市東郊1-3-4
定休日 水曜日 営業時間 11:00 - 21:00
意外に北海道人は、ラーメンに関しては保守的な味が好みで、野心的な味わいはなかなか受け入れられない難しさがあるようだ。
こちらのお店は、野菜のポタージュスープに、特注の極太麺を合わせたラーメンを開発した。なかなかに大変だったと思う。
ところが、残念なことにこの個性的な旨さは未だ理解されていないようで、食べたことがない・一度しか入っていないという方が多く、近隣のラーメン店を選ぶ方が多いのだ。
この店の味は、有りか無しかで言うなら、声を大にして「有り」だと言おう。
まず、現在のラーメンとはどんな料理かというと、すでに発祥の大陸の味と遙かに違う物に変化しているではないか。ありとあらゆるスープの取り方があり、食べ方や麺の種類も多様で、何でもありの百花斉放、百家争鳴のジャンルではないか。しかも全国的にまだまだ変化が落ち着く気配もない。そういう料理を、北海道人は好む傾向があるではないか。
この店の生み出す味は、ヌードルの一形態だと考えればいいだろう。
温かいスープの物は、まず塩梅が落ち着いてきた。当初は味が濃かったが、ベースになるスープの濃度を落としたか、塩加減を落としたか、飲み下しやすくなった。バジル、ガーリック、胡椒など、様々な香辛料等を加えて味の変化を楽しむよう推奨されているのだが、この変化は劇的だった。ラーメンにこういう味があるのか!?という衝撃がある。
ダシはポタージュの甘みとのバランスよく、ブイヨンともまた違う、洋食のスープとしてなら、おおっ!と驚く一歩踏み込んだ味だろう。ラーメンの文脈で考えると、コクがわかりづらく何のスープだろう、という異質な印象を与えるかもしれない。
しかし、髄液を絞るように煮込んだ獣臭さ、調味料や油脂に頼らない味付けのスープというのは、実に個性的で旨い物なのだ。
三角形のイタリアンで使うようなボウル型の丼は、インパクトはあるだろうが、料理にとっては、向いていないのではないか。浅い器で少し麺が泳ぐくらいで、スープの香りが立つようにしたほうがいいのではないかと思う。まあ何より僕には、視覚的に三角形という角の立った禍々しさと、面積が狭くちゅるっと啜った際に、汁が器の外へとハネ飛びやすいというのが、食事を提供される側として障りを感じ嫌なのだが。大抵は大盛りを頼んでいるので、丸く大振りな器はそんなストレスとは無縁。

つけ麺が最近出てきたが、市内でもトップの味だと思う。冷たい麺に熱いスープは、麺を浸す時間が長くなっても塩梅よく、舌に刺激少なく、スープの甘みと旨味を味わえる。じっくり、極太麺を噛みしめ味わえる。
この極太麺が手強い。アルデンテ程度の茹で加減なのだろうが、うどんともパスタとも違う、なかなか噛みきれないもちっとした弾力溢れる麺なのだ。ラーメンの麺としての歯応えや味わいを確保し、パスタのように口の中で噛んで味わう食べ方に向いた麺、と考えていった正常進化がこの麺なのだろう。
そういう固さの麺なので、いつものようにがばっと箸でつまんで啜る、という食べ方は向かない。口の中でごわごわと噛みきれないいらだたしさが残るだろう。スパゲッティのように、少量まとめて口に放り込むといいのだろう。
そうすると時間がかかり、麺がのびてしまうかも、という心配のために、固めの茹で加減なのだ。この麺はそうそう水を吸わないので、嬉しいことに大盛りにしてもそれほど固さに変化はない。
平打ちやバリかた等、麺を味わう風潮が出てきてはいるが、この極太麺の独特さは断トツで、抵抗感があるようだ。最近はラーメンらしい中太麺も選べるようになった。
どこのラーメン作りの文脈に属さないこの味は独学らしく、意見を寄せてもらいたいと卓上には用紙が用意されている。独創的なだけに、客観的な評価を得るのは難しいだろうな。
こちらの明快かつ個性的な方針を、僕は支持するぞ。
と先日はつらつら考えていて、今、強いてあげるなら…、と書き込もうかどうしようか迷っていると所用ですぐに店を出なければならなくなった。
具にレンコンが入っているのだが、これが厚く固いので、薄切りにしてスープカレーの具のように素揚げしてみてはどうか、ということを勘定の際に言い置いて店を出た。
真意は、もう少しある。
ラーメンを求める客は、意外に“わかりやすさ”も求めているようなので、わかりやすいコクがあるといいのかもしれない。
油脂のコクをこれ以上スープに入れることは考えられないので、具でコクを感じてもらってはどうだろうか。揚げることで、油のコクを感じてもらえるのではないか。
また、レンコンの固さはちょっと異質で、薄くするともっとスープとなじむのではないだろうか。
具にレンコンが鎮座するというのは、スープカレーで北海道民にはもうお馴染みだろう。。
中太麺も用意するように、客の嗜好にも擦りよせをする余地があるようだし、ちょっとした“わかりやすさ”があれば、もっと千歳市民に受け入れられるのではないだろうか。
もっとこの個性的な味わいが、受け入れられて欲しいと願うのだ。
趣味性がありそうで、でもこだわりのなさそうな内装、ディスプレイについては全く評価しない。悪くはない(と思う人が大半だろうけど)だろうが、アメリカ的“お飾り”という雰囲気は全然店に馴染んでない。器にプロヴァンス風のもの、イタリア的大振りな明るさの物があると、ぐっと来るかもしれない。
でも店名の“ジル”は、ジル・ド・レェのジル?それとも、シスター・ジルのジルとか?どちらも悪魔的だから、そんなことはないだろうけど、由来はなんなのだろうな。
さてさて 個性的なことは間違いない、世に問うだけの価値ある一杯だ。ぜひご賞味を。
ベジポタラーメン ジル ( 千歳(北海道) / ラーメン全般 )
★★★★☆4.0
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電話 0123-27-9000
北海道千歳市東郊1-3-4
定休日 水曜日 営業時間 11:00 - 21:00
Posted by 伊達直人 at 07:24│Comments(0)
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